2018年3月30日金曜日

卒業の贈り物






 先日の東洋大学卒業式。大学院生たちが、祝賀会に招いてくださった。

卒業のお祝いと惜別の、和やかな雰囲気の終盤。実家が酒蔵という染谷さんはじめ学生さんたちが、一升瓶をプレゼントしてくださった。
写真の、広島は三次・甲奴の酒蔵、山岡酒造の醸す「瑞冠 限定生酛 純米吟醸」が、そう。生酛らしい、コクのある辛口。酒好きのする落ち着いた後味がひいてゆく最中、ふうわり、花の香のような米の旨がとどく。たいへん結構な御酒でした。
「瑞冠」。日本酒党のあいだで有名な地酒らしいが、関東にはあまりはいってこないのだとか。ぼくも、はじめて味わった。ちなみに、ラベルに画かれた百草は、酒造りにつかう水源ちかくに生えた野草だとか。酒蔵の思想がうかがえる、美事なラベルですね。そして、よくよく見れば、描かれた草が「瑞冠」という文字を編んでいる。学生さんたち曰く、瑞穂の「瑞」にかけて、えらんでくださったとか。後日、父が買ってきてくれた、池波正太郎『鬼平犯科帳』シリーズに登場する「忠八のうなぎ」弁当で、さっそく、一杯呑みました。

年末に会って、いったん、ブダペストに帰省したアニタさんからは、モンブランのノートをいただいた。学生さんには、高価でしょうに。モンブランだけれど、イタリー製らしく、「このノートで詩を書いてください」とのこと。ありがたく、つかわせていただきます。

学生さんたちの心遣いが、ほんとうに胸に沁みた。

会のあと、夜になっても人波のひかない桜の千鳥ヶ淵を、全員でそぞろ歩く。アニタさんは、思いもよらず、再来日のタイミングにあった早咲きの桜に、「東京がお別れをいってくれている」と、エレクトリック・ブルーの瞳を潤ませていた。


みなさん、お元気で。いつか、また、お逢いしましょう。
 

2018年3月29日木曜日

サクラサク




 ことしも、桜が、咲いた。

原稿がひとくぎりついた朝、カーティスのスキットルにシングル・モルトを容れ、お花見にでかけた。

見沼の(つながれば)全長20キロ以上におよぶという「桜回廊」を、ことしも圧倒されつつあおぎみて歩く。

ウィスキーは、昨年の渡英で購入し、この日のためについに封を切ってしまった、タリスカー25年。

桜に、スコッチに、ここちよく酔ってきたところで、最近みつけた大宮の江戸・小料理屋「桃栗」で昼食。お酒を二本。さらに歩きだして、武蔵一宮・氷川神社に参拝。芥川龍之介ら田端文士もおとずれた大宮公園で、しばし、お花見。

さらに、幸手、粕壁へと、ソメイヨシノと芭蕉や楸邨の句をたどりながら古落大利根川ぞいを歩く。歩き疲れて、湯元温泉につかる。「麺や豊」で、酒食。

竹林にひっそりと咲く、しだれ桜の古木と出逢った。

来週は、都内で仕事だから、こんどは根岸谷中の飛鳥山公園から上野にもでかけようかしらん。子規を偲び、「笹乃雪」で湯豆腐もいいなあ。千鳥ヶ淵の桜は、東洋大学の卒業式でもう見た。
桜の季節につい思い出す句は、中村苑子の、

春の日やあの世この世と馬車を駆り


しばらくは、スカイ島のシングル・モルトを馬車に、お花見、お花見。

2018年3月24日土曜日

「LUNCH POEMS@DOKKYO」実行委員の卒業式


(C)  Risa Nakazato



320日、獨協大学の卒業式へ。

第2期「LUNCH POEMS@DOKKYO」実行委員会の四年生が、無事、卒業の日をむかえたのだ。

二年間、行動をともにしてきた実行委員会の卒業生たちは、ピシッとしたスーツ姿に、あでやかな袴姿に、素敵で立派ないでたち。あいにく雨天のため、式後は別室で記念撮影する。
第2期ランチポエムズ、これが、最後の集合写真になった。
わずか二年というなかれ。
最初に出逢ったときから、みなさん、成長され、じつに頼もしくなられたと思う。ランチポエムズの成果はひとしくみなさんのものだけれど、二年間、運営を率いてきた実行委員長の園田遼弥さん、おつかれさまでした。

そして、みなさん、ほんとうに、ありがとう。

さて、そんな感動にひたっていると、卒業生の田上友也さんから「読んでください」と詩集を手渡された。なんと、田上友也さん自身の第一詩集『ぼくときみのあいだ』である。DTP印刷会社に発注した詩集は、なんとか卒業式までに製本が間に合ったのだとか。そして、さらに、おなじく田澤敬哉さんの第一詩集も、卒業式には間に合わなかったが、現在、製本中とのこと。これは、原成吉指導教授にとっても、ぼくにとっても、うれしいサプライズだった。

そこで、ぼくは、きたる6月2日に埼玉文学館で開催される「埼玉詩祭2018」のステージに、田上さん、田澤さんのふたりをはじめ、卒業生、大学院生を誘った。当日は、ともにポエトリー・リーディングをすることになるかもしれない(この件は、後日、ふたたび告知します)。


ランチポエムズを卒業しても、こんなふうに、ポエジーの環がつながってゆくことに興奮し、感謝した卒業式だった。