2020年8月25日火曜日

「魯山」閉店

 



 東京西荻窪の伝説的な現代陶器店「魯山」が閉店するという。坂田和美さん、勝見充男さんらとともに、いわゆる陶芸界の「新感覚派」を三十年にわたり牽引してきた大嶌文彦さんのお店。

 岡山、瀬戸内への取材旅行をあすにひかえてはいたが、湘南新宿ラインにとびのった。

 

 店主の大嶌さんには、会えた。打ちっぱなしのコンクリートの店内は、すでに全商品が売り切れてい、がらんとしていた。ぼくが魯山ですごした最後の時間は、二十分ほど。その間、閉店を惜しむお客さんが、次々、おとずれて挨拶していった。

 

 大嶌さんは、閉店の事情も経緯も、語らない。だから、ぼくも、言葉すくなに「お世話になりました。お元気で」というしかなかった。別れ際、大嶌さんは、そっと握手してくれた。

 

 一昨年、ひさしぶりにお会いした大嶌さんは、ソウルで開催された魯山展について、嬉しそうに報告してくれたばかりだった。

 瀬戸内から帰ったら、魯山について再び書きたい。魯山と大嶌さんは、若き陶芸家やプロダクトデザイナーはもとより、アーティスト、料理研究家、編集者、そしてぼくを育ててくれた場所だ。

 

 とりあえず、いまは、魯山の復活を心から祈りたい。

2020年8月22日土曜日

大川暑気払い



 

 

 お盆中はずっと蟄居し仕事で、ブログの更新もままならず。失礼しました。

 

 ぼくの夏季休暇は、毎年、八月末。来週は取材旅行で瀬戸内へ。新型コロナもあり、いままで極力、他県への遠出を控えていたけれど、仕事上、やむなし、なのだ。


 とはいえ、先日、東京蔵前のギャラリー「空蓮房」からお呼びをうけて、久々に、外出した。房主であり写真家の谷口昌良さんより依頼をうけて、今秋、二人展を開催することになったのだ。五月に上梓された谷口/石田の写真詩画集『空を掴め』(ユタカ・キクタケ・ギャラリー)を巡る展示になりそう。

 

 打ち合わせ後は、「駒形どぜう本店」へ。コロナの影響で、お客はぽつぽつだった。お新香と鯨ベーコンでビールを呷り、ぬる燗にきりかえて、どぜうの蒲焼で一杯。駒形の蒲焼は、鰻よりも、たれと脂がすっきりした辛口で、暑気払いの精をつけるのにもってこい。


 酒食後は、大川(隅田川)のウォーターフロントで夜風に涼みつつ歩き酒。それから、浅草の老舗バー「バーリイ」で、モヒート、オリジナル・カクテル「月暈」などなど。〆は、ビリケンのチャーシュー麺。


2020年8月6日木曜日

新コーナー「Special」がスタート



 ぼくらはふたりきりで深夜のカウンターにすわっていた。

 

 先週の日曜日、詩誌「PEDES」でも活躍する若き詩人二宮豊さんが浦和にくる。来春オープン予定の国際ポエトリ・サイトの打ち合わせ。氏はこのサイトの副編集長でもある。


 二時間ほどの会議のあと、浦和の鮨屋でかるくつまんで呑み、話題の新バー「一滴水」へ。マスターは作務衣、着物姿の女性バーテンダーがいて、無垢木のカウンターと木天井の空間にお香が漂う。どこか、祇園のバーをおもわせた。


ぼくは、三十年もののハイランドパークをストレートで。このご時世に、奇特にも、極太のキューバ葉巻がおいてある。コイーバを燻らせつつ、ぼくらはプロジェクトの展開、日米の近現代詩や文学について、えんえん語りあうのだった。その日は、トータルで七時間、呑んで、呑んで、語った。


 アメリカン・モダニズムの巨星ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの『アメリカ人気質』(In the American Grain)で修士論文を提出した氏は、英語が堪能で、ぼくとも共訳をしている。若き詩友として、副編集長として、好個の人材だ。


 そんな二宮豊さんと、本ホームページの新メニュー「Special」をはじめます。その名も「Alone Together ふたりきりの詩の止まり木」。左記サイトのためのパイロットページで期間限定の掲載です。


Menu」から、ぜひ、ご一読ください。