2019年11月26日火曜日

いよいよ、今週土曜日、「Poetry and Jazz and Night」!



  横浜は野毛に現存する、日本最古のジャズ喫茶といわれる名店「ちぐさ」。いよいよ、今週土曜日、拙新詩集『Asian Dream』刊行記念イベント「Poetry and Jazz and Night」が、夜19時から開催されます(18:30開場)。詳細は、下記、「ちぐさ公式ホームページ」をごらんください。


ちなみに、うえのすてきなポスターは、「ちぐさ」イベント・ディレクターの笠原さんが、手ずからつくってくださったもの。感謝、感激です。

 関東屈指の呑み屋街、野毛で、一杯ひっかけ、食事してから、ジャズ・バーにくる感覚で、ぜひ、ご来場ください(ちぐささんに、軽食はありますが、本格的なディナーはありません)。ドリンクはオーダーしていただきたいのですが、入場料は、なんと、無料。予約制ではないので、混雑も予想されます。はやめのお越しを。

 ここ数日、飛び入り朗読にエントリーしてくださった秀逸な詩人の方々、ゲストの永方佑樹さん、マルティーナ・ディエゴさん、踊り手のレンカさんと、当日、朗読とセッションするジャズ・レコードをうちあわせていた。みなさん、初めてのジャズLPとのセッションに、とても意欲的だ。

その朗読へのアプローチ、多様なアイディを聴いていると、ワクワクしてくる。さすが、詩人たち、というか、たんに、ジャズにあわせて詩を朗読するというのではなく、「ちぐさ」という歴史ある名店とそのアナログ・レコードたちと対話(まさにインタープレイ!)するかのよう。
当事者のぼくだが、どんなイベントになるのか、こころから愉しみ。すごく、いい、ポエトリー&ジャズ・パーティーになりそうです。

当日は、出演詩人たちによる詩集のサイン会もあります。

ぼくも、ちぐさイベント記念バージョンの『Asian Dream』を持参する予定です。ぜひ、ぜひ、お越しください。

2019年11月23日土曜日

「LUNCH POEMS@DOKKYO VOL.14」マルティーナ・ディエゴさんが出演



 第14回をむかえた、「LUNCH POEMS@DOKKYO」。今回は、日本に在住するイタリア人詩人、マルティーナ・ディエゴさんをおむかえした。

 ディエゴさんのプロフィールや、当日のイベントの模様を、実行委員会の学生さんたちが公式ホームページで紹介しているので、ぜひ、ごらんください。


 日本の大学に留学経験もあり、ある意味で、ダンテのように故郷をすてて東京にとどまり、詩を書きつづけている、漂鳥のような詩人マルティーナ・ディエゴ。ぼくが知るどんな〝ガイジン〟よりも日本語を流暢に話し、書く詩人。谷川俊太郎氏の詩や夏目漱石の俳句のイタリア語訳者としても知られるディエゴさん。その朗読と詩話は、最初から最後まで完全に日本語で、イタリア語も英語もでてこない。あたたかい人柄とエネルギッシュな話術で、ぐいぐい学生たちを惹きこんでゆくのだった。
 詩は人をあらわす、かどうかはさておき、ディエゴさんが醸す場のエネルギーは、彼の詩ととてもよく似ていた。

 第一日本語詩集『元カノのキスの化け物』から、「一人酒」と「悲しむ隙間の他に」を朗読してくださる。「月の電気の影に奪われて帰って/鍵の騒音と共に一人部屋に入る」(「一人酒」より)という、ネイティブの日本人詩人でも書けそうにない、独特の響きをおびた日本語の詩行が、ディエゴさんの持ち味。彼は、母国語のイタリア語から詩を日本語へ翻訳したのではなく、最初から日本語で書きはじめたという。

ディレクターとして、事前に「イタリア語でも朗読してほしい」と、ディエゴさんには依頼していた。だが、なんと、詩人からは「いまのところ、私の詩は日本語でしか表現できないんです」との返答。たしかに、『元カノのキスの化け物』を母国語で書けば、イタリア語と日本語の音叉から響く不思議なポエジーはかないそうにない。たとえば、「ただいまのこだまが聞こえないこと」というフレーズも、日本人には自然に聴こえる音とリズムでも、ディエゴさんが朗読すると、イタリア語独特の長くて舌がからまるような長母音と破裂音の連なりが効いていて、ラップみたいに聴こえる。

 最後に、ディエゴさんは詩篇「新里」を朗読。この字にも、ふるさと、とルビがふられる。ディエゴさんは、日本での失恋の痛手と海外生活の疲労感をのりこえるためにも、『元カノのキスの化け物』を三ヶ月ほどで一気に書き上げたという。ふるさと、とルビがふられた「新里」は、そんなディエゴさんが、いま、東京に感じる居場所だ。イベント中、『元カノのキスの化け物』をして、「たくましい詩が書きたかった」とくりかえし述べた詩人の姿が印象的だった。

ハイブラウな詩的実験と、ディエゴさんが私淑するアメリカの酔漢詩人チャールズ・ブコウスキーのナイーヴが混淆してうまれる魅力。日本現代詩のシーンにとらわれず、世界現代詩の海へと漕ぎだすディエゴさんの「たくましい詩」を、これからも注目してゆきたくなるイベントだった。

 マルティーナ・ディエゴさん、ほんとうに、ありがとうございました。

2019年11月19日火曜日

「Poetry And Jazz And Night」、sit-inn(飛び入り朗読)の〆切




 きたる11/30に開催される、拙の新詩集『Asian Dream』刊行記念イベント、「Poetry And Jazz And Night」まで、あと十日。

かねがね、募集していました、飛び入り朗読の参加者が、決定しました。

二宮 豊さん
田上 友也さん
関  中子さん
佐峰 存さん
渡辺 めぐみさん

 以上、定員越えの、五名の方がエントリーしてくださいました。ありがとうございました。結果的に、16名の方に
お申し込みをいただきました。が、先着順、ということで、大変申し訳ありません。
 ゲストでお迎えしてもおかしくない、すばらしい詩人たちのご参加。
 こころから恐縮ですが、、盛り上がりそうです!
 
 Sit-inn参加募集は、これをもちまして、〆切させていただきます。

 11/30の夜は、横浜「ちぐさ」に、ぜひ、お越しください。

2019年11月16日土曜日

「第14回 ヴィジュアル・ポエジィ・パリ展」に出品


「しの傷」原稿の一部



 東京は蔵前にある唯一無二のギャラリー「空蓮房」を主催する写真家、谷口昌良さんと、視覚詩作品を共創していたことは、以前、書いた。その視覚詩作品「しの傷 Ⅰ」と「Ⅱ」が、完成。
今日からパリで開催される「14回 ヴィジュアル・ポエジィ・パリ展」会場へ、無事に郵送されていった。

 展示の詳細は、下記のとおりです。お近くの方や、パリにおいでの方は、ぜひ、ぼくらの代わりに、ご覧になってあげてください。

14回 ヴィジュアル・ポエジィ・パリ展 
会期 20 1 91116()~127(休廊日は日曜日 
画廊 Galerie SATELLITE
7 rue Franc
̧ois-de-Neufchâteau, 75011 PARIS FRANCE (tel) 01-43-79-80-20  地下鉄ヴォルテール駅より徒歩4分。

 谷口昌良さんとぼくの共同作品は、シンプルにいうと、谷口さんの写真作品のうえに、ぼくが詩を書くというものだった。もちろん、それだけでは、視覚詩でもなんでもない。

 谷口さんの写真作品は、静岡の三保松原で撮り下ろされた連作写真。視力の弱い谷口さんが眼鏡をはずすことにより、ピントをあわすことが不可能になったアナログカメラで撮影した松、海、空、光は、じつに不思議かつ不可解な光彩と陰翳をゆらめかせる。偶然の引力、手と機械の織り成す無意識が、幽玄、としか言いようのない光景と物象を印画紙に潜ませる。白隠の書のような、と、写真家でありつつ僧侶でもある谷口さんは、いうのだが。

 たいして、ぼくは、言語をふくむ世界の諸存在を「書き撮る」ことへの思索とも読める、古韻を駆使した一行詩を二片書いた。双片の一行詩は、各詩の中心にある平仮名「し」のところで、垂直と水平に交差している。さらに、詩作品を二宮豊さんに英訳していただいた。

 当初は、特注の極厚アクリル板の底に谷口昌良さんの三保松原の写真を焼着、アクリルの表にぼくが自筆で、十字路のような形式の一行詩を書く予定だった。そして、アクリル板の写真は二点制作し、一点は日本語詩、一点は英語詩とするはずだった。アクリル板の中間で、詩の文字が写真の不可能な消失点へと落下する飛影を、視覚詩とする計画だったのである。

 ところが、この視覚詩の計画から、ぼくらの共同作品は最後の土壇場でおおきく変貌を遂げてしまう。というか、まったく別のポエジーへと転生してしまった。ゆえに、ぼくらの共同作品は、もはや視覚詩からも外出してしまったのかもしれなくて。

 では、実際の作品はというと、パリに行ってご自身の肉眼で観ていただくほかはありません。

ただ、谷口昌良さんとぼくは、今回の共同制作によって、新たな創造の手応えを感じてもいる。
これを手がかりに、もうすこし、おたがいに深く省察と実践をかさね、2021年春には新プロジェクトとして、日本でも公開できればと考えています。

この場をかりて、出品の機会をあたえてくださった、詩人ヤリタミサコさんに深い感謝を。

そして、なにより、卓越した写真家にして新しき詩的パートナー、谷口昌良さんに、友愛をこめて、深い感謝を。

2019年11月11日月曜日

LUNCH POEMS@DOKKYO, VOL.14開催日変更のお知らせ



 11/21を予定していました、注目の在日イタリア詩人ディエゴ・マルティーナ氏が出演する「LUNCH POEMS@DOKKYO, VOL.14」の開催日が、急遽、今週木曜日の11/14に変更となってしまいました。

 詳細は、LUNCH POEMS@DOKKYO公式ホームページをご覧ください。

https://lunchpoems-dokkyo.jimdo.com

 大変ご迷惑をおかけしてしまい、心よりお詫びを申し上げます。

 とはいえ、ディエゴさんの朗読、とてもいいものになりそうです。

 ぜひ、ご来場くださいませ。

2019年11月7日木曜日

LUNCH POEMS@DOKKYO VOL.13に永方佑樹さんが出演



 すこしレポートが遅くなったが、去る10/17第三木曜日、獨協大学外国語学部主催のポエトリー・イベント「LUNCH POEMS@DOKKYO」に、詩人の永方佑樹さんが出演してくださった。ランチポエムズの公式ホームページでも、インフォメーションをご覧ください。


 一年間の休止をへて、新実行委員会により新たにリブートしたこのランチポエムズ。学外からもお客さんがご来場くださり、盛会となった。
 また、永方さんの第二詩集『不在都市』(思潮社)が、今年度の歴程新鋭賞を受賞!今回のランチポエムズが、永方さんの受賞後初のリーディングとなった。

 朗読は、第一詩集『√3』からスタート。永方さん独自の「立体詩」が試みられた詩集だ。√3=三角形(錐)は、ひらがな、カタカナ、漢字を有する日本語のトライアングルでもあるとか。永方さんの奏でた日本語は、その三種の書字=書記の音響を異化しつつ相乗してひびかせる。その声は、語音というより、日本語に内在する数学的な音楽を聴かせてくれるよう。ミュージシャン系、演劇系の詩人たちの朗読とはちがう、独自の美をもつ朗読だった。

 いっぽう、『不在都市』の朗読は、より現代の位相に接続するリーディング。国際詩祭で共同制作したアーティストたちや翻訳者たちと紡ぐテクストをスマートフォンの声で再生したり、天台宗僧侶に詩篇を朗詠してもらうなど、声とエクリチュールの関係性を、二項対立をズラしつつ、新たなポエジーの立体へと構築してゆく。
 永方さんは、都市を「不在」の集合と観じているとか。とまれ、詩人のアクセスする不在は、けっして否定的な空虚ではない。永方さんは、この不在にむけて、つぎつぎと新たな詩のアイディアを創造して挑む。すると、あれこれと手を尽くしつつ、詩人が不在から湧出させるクリエイションが、とても豊かなものにみえてくるから、不思議だ。
 ランチポエムズで出逢った永方佑樹さんという詩的発明家の相貌は、アメリカの前衛詩人ガートルード・スタインを彷彿とさせる。学生さんたちも、詩人の豊富なアイディアに圧倒されつつ、たのしんでいたようだ。
11月末には、イベントの動画も配信される予定です。「LUNCH POEMS@DOKKYO」のホームページ、または本ブログでも告知をしますので、ぜひ、ご期待ください。

次回、11/14木曜日のランチポエムズ(11/21から諸事情により、急遽変更になりました!)も、じつに、たのしみな詩人。マルティーナ・ディエゴさんが出演の予定。ぜひ、ご来場を。

 ランチポエムズのリブートにふさわしい詩人を招くことができて、ぼくも原先生も実行委員会のメンバーも、大満足のイベントでした。

 永方佑樹さん、ほんとうに、ありがとうございました!