2018年2月2日金曜日

早稲田大学で対談



装丁家 奥定泰之さん



  さる1/27土曜日、早稲田大学文学部のある戸山キャンパスで、拙詩集『まどろみの島』、『耳の笹舟』を装丁していただいたブックデザイナー、ご存知、奥定泰之さんと対談しました。

 朝、京浜東北線で王子駅へ。そこから、ふと、思いたって、都電荒川線にとびのる。散歩気分でチンチン電車にゆられながら、とげぬき地蔵さまの巣鴨、詩人田村隆一さんの大塚駅前、かつてぼくがかよった心因流剣術道場があった鬼子母神前をとおりすぎ、終点早稲田に到着。都電荒川線の、残雪の線路をいったのは、はじめて

 それから、大隈講堂や古本屋をひやかして、八幡山にお参り。早稲田大学構内は、象牙の塔や欧米の伝統的なユニバーシティの面影がある。気がつけば、大学らしい大学が日本からどんどんなくなっているなあ。ビル街と化したいまの都内の大学は、まるで、社会人を生産する工場みたいだ。

 さておき、そんな時代に奥定さんも、ぼくも、手の仕事をしている。

 対談は、奥定さんによる文庫本のクロース装の実演からはじまる。そこから、昨年6月から一月開催され、奥定さんがアートディレクションした「空蓮房」石田瑞穂展の模様を、小野田桂子さん撮影の写真スライドをまじえながら、解説。うえの写真のように、奥定さんは、『耳の笹舟』と個展で使用した紙「彩雲」で教壇をすぐさま装丁してしまった。奥定さんにとって、空蓮房での仕事は、内装やインスタレーションではなく、空間を詩集として装丁しなおし変奏する行為でもあったようだ。

 その所作を見て、ぼくは、詩想をめぐらす。

 装丁とは、紙をはみだしても、生と世界を書物化する創造ではないか。

 対談とはいえ、じつに愉しいひとときをすごさせていただいた。知的好奇心の旺盛な学生のみなさんは、ほんとうに、すぐれた聴き手だった。

 早稲田大学助教授で気鋭のライター・トミヤマユキコさんの研究室を訪問したあと、ぼくらは、神楽坂へ。とまれ、呑みはじめるにはちょいと中途半端な時間。とおし営業の店がほかになかったので、「九頭龍蕎麦」にはいる。この呑み会については、次回、書きますね。

 早稲田大学の学生のみなさん、お邪魔さま、ありがとうございました。

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