2021年2月24日水曜日

執筆と酒と桜と

 





 昨年12月から、ほぼ毎日〆切、そして出張がつづく。こんなこと、初めて。まあ、依頼がくるだけ、ありがたいけれど。仕事での外出のほかは、粛々と机にむかううち、いつのまにか、庭の河津桜まで咲いてしまった。

 緊急事態宣言中でもあるので、呑むときは家がほとんど。酒は、ここのところ、山梨の老舗酒蔵、山梨銘醸の七賢を呑んでいる。

 山梨は南アルプスの麓にある名水の地、白州町。そこで、三百年つづく酒蔵、山梨銘醸さんから執筆の依頼がきたのだった。

 七賢は、五年前に北原亮庫氏が醸造責任者に就いてから、めざましく変化し、注目をされている。日本酒もいいが、特筆すべきは、スパークリング日本酒だろう。

 ぼくは、七賢スパークリングのなかでは、「星ノ輝」と「空ノ彩」が気にいる。とくに、「空ノ彩」は、独自の瓶内二次発酵により醸される自然なバブルが、舌のうえで羽毛のように柔らかくはじけ、それこそ、高天に昇るここちがする。いまだかつて、こんな日本酒を呑んだことがないのだ。古酒をつかう「星ノ輝」も、秀逸。いずれも本物志向の酒徒から支持をうけるスパークリングだ。

 河津桜も咲いたことだし、今夕は、出前の鮨で花見酒と洒落込んだ。明治期の古硝子高盃で。七賢のスパークリングは、食欲とともに重い酒に舌疲れする夏などは、鮨と大変相性が好いと思ふ。もちろん、開花とともに乾杯をかさねる春もいいけれど。

 江戸時代の重厚な木の母屋で、利酒をした雪の日のことが忘れられない。

2021年2月17日水曜日

「詩への旅」第13回が掲載

 



 ブログがまったくもってはかどらず、すみません。コロナではありません。〆切の波濤とブロガーの不調のせい。


 そんななか、左右社WEB連載の詩的紀行エッセイ「詩への旅」の第13回が掲載になりました。


http://sayusha.com/category/webcontents/c21



 今回は、ぼくの世代からも忘却されつつあるマイナーポエット、田中冬二の幻影を信州南アルプスにおう旅。取材旅行は昨年冬におこないました。


 池波正太郎や三島由紀夫が愛した、ノスタルジーと温泉の詩人、田中冬二。冬にはふさわしい詩人だと思う。


 緊急事態宣言の最中ですが、こころは、詩への旅を愉しんでいただけたら、うれしいです。