2021年5月28日金曜日

梅雨のどぜうを



 

 新型コロナ蔓延防止策がまたも延長、か。

 ここ二ヶ月、春日部の麺屋豊さん以外は、まったく外呑みしていないのだが、家呑みが板についてきてしまった。

 

 外で呑んでいる景色が、もう、思い出のようにすら感じられたので、いま、自分がゆきたい呑み処を戯れに想いうかべてみる。

 

一、浅草 駒形どぜう本店

二、浅草 鎌寿司

三、浦和鰻 中村家

 

筆頭に、どぜう、というのは自分でも意外だった。たしかに、ぼくの梅雨はどぜうを食さねば明けまい。そのことを自覚した。

 

 さて、そんな独酌の独り言のお供は、酒が「七賢 絹の味」、肴が「いざさ 柿の葉寿司」。

 盃は松浦系窯の古唐津立ちぐい、徳利は桃山時代の緋襷預徳利。柿の葉寿司は大正期の白タイル、手造り珍味数の子白子和は李朝刷毛目皿に盛って。

 

 まあ、こうして、じっくり自分の酒器とむきあう日々もいいものだが、いま、大変な思いをしている飲食店のためにも、早くワクチンでもなんでも接種して、梅雨のどぜう鍋と洒落込みたい。

 

 ことしの夏は京都に、鱧を食べにゆけると、いいな。

2021年5月25日火曜日

巣篭もりの誕生日





 以前、古山子こと小山冨士夫作の徳利について書いたとき。桃山時代の無地志野盃ととりあわせられれば理想、と書いた。

 

 すると、近頃、頻々に骨董についての手紙やメールを交わしている詩人の城戸朱理さんが、誕生日の祝い物にと、なにやら小包をお送りくださった。

 

 小包を落掌し、開封してみて、おどろく。

 

 桃山時代の織部志野盃が、はいっていた。

 

 無地志野なら紅も差し、人肌のごとき温みある色だが、「織部志野は雪のような青みを帯びて、それもいいものです」と、送り状にあった。その盃は、古唐津の山瀬窯盃の肌を想わせる灰青でもある。

 

 お気持ちもうれしくて、二合半はいる古山子の徳利を三度みたし、半升瓶を呑みあかした誕生日だった。

 

 翌日、一枚板のテーブルにのこされた盃と徳利を、城戸さんにスマホで写メしたら、「志野織部の盃も古山子の徳利も唐子の古染付皿も、まるで昔からそこにあった感じがするのが面白かった」とのご感想をいただきました。

2021年5月15日土曜日

巣篭もりの日々のなかで


 

またもや、グーグルブロガーの不調で、ブログのアップが遅くなってしまった。最近、調子が悪いみたい。

 

 新型コロナ禍も変異ウィルスが出現したり、緊急事態宣言が延長されたりで、巣篭もりの日々がつづく。

 

 さて、きたる74日にTOKYO POEKET 2021のゲストに招かれたのだが…残念ながら、二度目の延期とあいなった。変動のおおいコロナ禍の状況にもかかわらず、たゆまず準備をされてきた運営実行委員会のみなさま、そしてポエケットを愉しみにされていた出展者の方々に、お見舞いを申し上げたい。

 三度目の正直、来年こそは、笑顔でみなさまとお会いできますように。

 

 

 さて、そんな混乱のさなか。やっと愛用の満寿屋謹製原稿用紙がとどく。

 

 原稿用紙が切れていたので、二ヶ月ほど、万年筆やボールペンでノートに書くを余儀なくされていた。時世柄、原稿用紙も種類や販売店がすくなくなり、さらに、コロナが追い討ちをかけている。まあ、同世代の詩人をみわたしても、原稿用紙に手書きはぼくくらいなものだ。

 ぼくもいまは、手書き原稿をアシスタントさんにタイプ清書してもらい、詩も散文もデータ入稿するほかない。

 

 それでも、原稿用紙に手書き派は、確実に一定数は生存しているようで、満寿屋さんも健在だ。

 

 以前、小説家の朝吹真理子氏とお話ししたとき、執筆過程の半分は原稿用紙に万年筆で書いているとお聞きして、うれしかった。

 

 きょうはノートに書き留めた長篇詩を原稿用紙に清書。

かつて原稿用紙入稿が一般的だった時代。執筆者用箋の原稿の余白には、混入を避けるため、名入れや璽印が捺してあった。

 あのころの佳き習慣に倣い、ぼくはいまも、書家北村宗介さんから贈られた璽印を余白に捺している。

2021年5月1日土曜日

ゴールデンウィークはお家で

 




 そもそも、フリーランサーなので、毎年の黄金週間は自宅ですごす、というか、たまった原稿を書いていることがおおいのである。遊びにゆくのは、人波のひいた連休後に。

 

 きょうは、春の酒器たちを共箱に仕舞い、夏の酒器をだした。

 酒を注ぐ片口として見立てたのは、江戸時代初期の瀬戸麦藁手夏茶碗、盃は手前右が古山子こと小山冨士夫作の斑唐津盃、奥左が桃山時代の初源伊万里盃、です。ここ近年は、近現代の陶芸作品と古器をあわせるのが、なんとなくマイブーム。

 

 せっかく、休日だし、酒器もだしたし、新緑を眺めつつ昼酒を。いただいた唐墨をおつまみに。

 

 酒は白州町にある山梨銘醸株式会社の「七賢 絹の味」。

 

 七賢といえば、いま、準備中の国際ポエトリーサイトでもご一緒しているデザインカンパニー「stoopa」さんと、春に七賢の英語サイトをつくったのだった。

ぼくが詩的テクストを書き、翻訳家の渡辺葉さんが素晴らしい英訳をしてくださった。

 よろしければ、ご覧ください。

 

 https://sake-shichiken.com

 

 そして、みなさま、こんな状況下ではありますが、コロナに気をつけて、よきゴールデンウィークを。願わくば、酒は七賢をご用命ください。