2018年5月29日火曜日

ジャズ喫茶「ちぐさ」でLIVE!





 横浜の野毛にある日本最古のジャズ喫茶&BAR「ちぐさ」に、ライブを聴きにゆく。「マルキオーネ・ブラザーズ」(the Marchione Brothers)というタイトルで、ヒロ・ヤマナカ(Hiro Yamanaka)さんと、ニューヨークから来日中のギタリスト、ポール・コート(Paul Kogut)さんによるギター・デュオ。

 マルキオーネ(Marchione)といえば、テキサス州ヒューストンの国際的に名高いハンドメイド・ギター、ヴァイオリン工房。ステファン・マルキオーネ氏が独りでつくる至高のスルーネック・ギターは、ジャズ界では俊英マイク・モレノやマーク・ウィットフィールドが愛用していることでも知られている。完全なオーダーメード、いちどに二器ギターをつくるものの、おなじ型のギターはにどどつくらない徹底したルシアー、マルキオーネ。

 そこで、なぜ、「マルキオーネ・ブラザーズ」かというと。ヒロさんのオーダから待つこと一年。マルキオーネ氏から「すごいギターができたんだ!」との連絡。仕上がってきたのは、フェラーリ・レッドのセミホロウ・ギターだった。下記リンクのサイトに展示されている「セミホロウ・プレミアム」だと思う。
そして、今回、マルキオーネ氏が二器つくった真紅のギターのうちもう一器を、たまたま、ポールさんが入手。「このデュオのマルキオーネ・ギターは双子の姉妹というわけさ」と、ポールさんはコメント。ヒロさんは著書でポールさんをとりあげてもいる。その縁もあって、マルキオーネ・ギター・デュオが実現したのだとか。

さて、肝心のライブはというと。正直、マルキオーネを措いても、とても聴きごたえのある、すばらしいギター・デュオでした。ライブは、ポールさんのオリジナルナンバー「So That Happen」からはじまる。そして、ポールさんのプレイからもジム・ホールへの愛が伝わる「Body and Soul」、ヒロさんのハイセンスなアレンジによるコルトレーンの名曲「Naima」に、会場は沸いた。サム(親指)ピッキングのみで始まりも終わりもない滔々たる川の流れのように弾きまくるポールさんと、ソロでの音数を極力抑えつつブルージーかつファンキーに意外な角度からコードチェンジしてインタープレイの幅をひろげる挑戦的な ヒロさんのプレイスタイルとは、双方、好対照。だからこそ、静かな室内楽にちかいギター・デュオにいいケミストリーを生んでいた。
それにしても、日本ではあまり知られていないだけで、世界にはすごいギタリストたちがいるんだなあ。ライブのあと、おふたりとマルキオーネの新器とスリーショットしたかったのだが、ポールさんのみと撮影(ぼくはけっこう酔っぱらっていてねむたげ)。

ひさしぶりに、いいギター・デュオが聴けて、大満足な一夜でした。

2018年5月24日木曜日

フェリス女学院大学の遠足





 〆切がつづき、ブログの更新が滞ってしまいました。いま、近現代詩の講義をもたせていただいているフェリス女学院大学にも原稿用紙を携行し、ファックスを拝借して入稿させていただいたり、講義中もケータイが鳴り、学生さんたちに笑われる始末。

 その、フェリス女学院大学の学生さんたちと、恒例の「遠足」にいった。昨年は、東京は蔵前にある「空蓮房」で開催されたぼくの個展にきてくれたのだけれど、今年は、神田神保町の古書店街にゆく。

 インターネットで本を購入することのおおい学生さんや若い世代にきくと、神田神保町古書店街はもとよりそもそも古書店そのものを知らない、という方が増えているように思う。ブックオフにはたびたび通うらしいのだが。さびしいですが、時代の流れ、というものでしょう。
若かりしころのぼくにとって、神田神保町古書店街の棚にならんでいたのは「古本」ではなく、つねに最新の情報だった。それも、現代のみならず、過去からのぶ厚いストックのある。文学書のみならず、古典、洋書、アート、マンガ、芸能、骨董、レコードにいたるまで、目にするもの手にするものぜんぶキラキラしていて、新しかった。それが、若さ、なのでしょうね。

 限定十名の古書店街ツアーには九名が参加(不参加の学生さんには課題)。午後四時半に岩波ホールで待ち合わせ。フレッシュな気持ちを大切に、マンガの「高岡コミック」からはじまり、「田村」、「澤口」、「小宮山」、「一誠堂」、「悠久堂」、「南洋堂」、「ボヘミアンズ・ギルド」などのスタンダードをおさえつつ一時間半ほどガイドする。
 田村書店では講義でふれた詩人たちの初版詩集にさわり、小宮山書店では三島由紀夫や澁澤龍男の初版本、直筆サインや書簡、四谷シモンや村上芳正の肉筆画などを鑑賞、店員さんのご好意で北園克衛の貴重かつ美麗な詩集『BLUE』初版も見せていただいた。建築書専門店で、土岐新が施工し菊地宏が改修してお店自体が現代建築作品でもある南洋堂も見学。思えば、北川書店で世界の絵本や児童書も、見せてあげればよかったなあ。

平日の夕方に、乙女たちのグループが古書店をそぞろ歩くのは、稀なことなのでしょう。店員さんたちやスーツ姿のお客さんたちは、ちょっと、目を瞠り、いつもぶつぶつ独り言ちている硬派な古本屋のおやじさんのぶつぶつは余計おおくなる。学生さんたちは、古本にうずもれた狭くて個性あふれる店内、中世まで遡る古本の匂い(苦手な方もいるけれど)、癖のある主人や本好きのお客さんの姿にふれ、ネットやブックオフ(いつもお世話になっているのに失敬!)では味わえない本のセレクトやもっと微細な質感を感得してくださったと思う。

詩人たちがかよった喫茶店「ラドリオ」や「神田伯剌西爾」、日本で最初期に焼餃子を提供したという銘店「スヰートポーヅ」などの古書店街グルメも紹介しつつ、最後は、愛書家と文士たちの憩いの老舗ビアホール兼洋食屋「ランチョン」で乾杯。小説家の吉田健一が考案した「ビーフパイ」(ビーフシチューのパイ包み焼き)や大岡昇平が好んだという「ニシンのマリネ」(しかし、ほんとうに文学者のカラーがでるなあ)などをお供に、成人はビアマイスターの注ぐマルエフやレーベンブロイ、未成年はソフトドリンクを呑んだ。

さて、写真の古本は、ぼくが当日入手した、北園克衛主催のポエトリー・マガジン「VOU93号。北園の写真作品「figure」シリーズ、視覚詩では伊藤元之「OP.127」など、詩は伊藤勲「ユウクリッド的な春」、清水雅人「消しゴムで星を消すな」などが掲載。折り返し地点をすぎたころの号だ。

来年の遠足は、どこへゆこうかな。

(今回は、更新をサボったこともあり、二回分を書かせていただきました)

2018年5月18日金曜日

またまた、野毛呑み




 またまた、野毛呑み

 勇名(いさな=鯨)居酒屋の「大門」さんに、また、ゆく。今回のお通しは、いか、地たこの刺身。300円也。生中で乾杯ののち、写真の鯨刺身。赤身と脂で紅白になって。赤身は血の味がしてやや鉄くさいのだが、これが、なんとも、いい。酒は、たしか、越乃白雁、鶴齢、百寿、雪月花。4合ほど呑んだ。
 ‎特製コロッケ、鮪中トロ刺身。きゃらぶきをサービスしてもらい、5千円を白木のカウンターにおいて、店をでる。

 北京料理「萬理」で、タンメン。こちらは、メニューに醤油ラーメンがなくて、タンメンが基本。叉焼麺から、醤油味があるらしい。スープはすんでいるのに、コクがある。平うちの太麺。にらがきいていて。このタンメンは、コショウも酢もかけないでたべてほしい。

 さいごは、日本最古のジャズ喫茶といわれる「ちぐさ」で、ハイボール2盃とチーズ。こちらでは、JLBの巨大スピーカーでLPレコード盤をリクエストできる。そろそろ、あれ、いってみようか。『ヒストリック•モカンボ•セッション'54』。「ちぐさ」に通い、JBLで最新のジャズを聴きこんだという秋吉敏子、渡辺貞夫、日野皓正ほか草分けジャズミュージシャンたちの日本ジャズのウッドストック、伝説のLPレコードだ。初めて聴きました。

 雨白く またまた愉し 野毛の夜話

2018年5月14日月曜日

神保町古書店街へ




 神田神保町で打ち合わせがあり、ひさびさに書店街を散策。休日の神保町は、ビジネスマンも観光客もいず、がらんとしていて、非日常の街。街は貸し切りになったみたいだ。それでも、バカンスにゆけなかった孤独な遊民や奇特な愛書家がちらちら出歩いていた。

 すこし早めについたので、詩の専門店、田村書店へ。田村書店は休みだったが、隣の澤口書店の300円棚に所持していない田村隆一のエッセイ本を発見。『ぼくの人生案内』。1998年刊行の本で、小学館からでている。
 詩人田村隆一が、読者の人生相談に回答するという企画で、植村慎ニ氏による田村さんのポートレートがふんだんにつかわれてもおり、田村ファンには好適の一冊といえよう。田村隆一の回答が、おもしろいながらも意外とまともなのが、‎珍本。

 アートディレクターの池田龍平さんと打ち合わせ後、山の上ホテルの鉄板焼き「ガーデン」でランチ。ワインは、ペイ•シャトー•ラトゥールをボトルで注文。池田さんに、ごちそうになってしまった。それから、こんどは、李朝時代の民画集をさがしているという池田さんと書店街を歩く。


 いまやアートブックを中心に揃える小宮山書店で、『ハンス•ベルメール』をみつける。押井守監督の『イノセンス』にも重要な小道具としておなじ本がでてくるのだった。大学の講義で、澁澤龍彦や吉岡実が偏愛し、超現実主義に影響をうけた美術•人形作家の本として紹介しよう。

 珍本といえば、大正9年刊行の詩人‎川柳虹ニ訳『エルレーヌ詩集』。エルレーヌとは、ポール•ヴェルレーヌのこと。オブジェにもなりそうなポケットサイズの詩華集は、純粋に、歳月を経た本のたたずまいが気に入ったから。‎

 ほんとうは、最低、月一回は古書店を巡礼すべきなのだが。なかなか、かなわない。だから、仕事の合間とはいえ、池田さんとの古書店めぐりは貴重なひとときだった。

 こんどは、学生さんたちを古書店街ガイドにつれだそう。

2018年5月10日木曜日

海の休日





    妻と茅ヶ崎へ。

 ときどき、ひたすら蒼い海と空をながめ、潮風に吹かれ、ぼんやりしにくる。そして、ときには、万年筆とノートを携行し、海辺のカフェで詩を書いたりする。

 今回は、気になっていた海のちかくのフレンチ、ターブル•ド•トリウミで昼食。紫雲丹のジュレや朝穫れの地魚・鰯の包み焼き、鱸のポワレなど。白ワインは、ブルゴーニュの銘醸地シャサニー•モンラッシェ、ドメーヌ•ラモネのプリュミエ•クリュ。

 年一度のゴールデンウィークなのに、どこにもゆけず机にむかっていた、ご褒美。‎

2018年5月7日月曜日

ハン・ソンレ(韓成禮)さんからの贈り物




 韓国の詩人にして翻訳家、比較文学研究者のハン・ソンレ(韓成禮)さんから、贈り物が届く。

 ダンボール一箱の中身は、まず、たくさんのお菓子。それから、ハングルを解さず名前がわからなくてお恥ずかしいかぎりなのだが、韓国の立派な文芸誌。ハンさん訳の韓国現代詩シリーズ4巻(思潮社)、そして「平昌詩人祭2017」公式アンソロジー。ぶあついハードカヴァーで、韓国の心意気をずっしり感じさせる重量級の詩書だ。

 文芸誌には、日本の女性詩人、杉本真維子さんとの対談と韓国語訳の詩作品。それから、美麗な若手韓国詩人、イ・ヘンミ(李彗美)さんとの対談も掲載されている。写真まで載せていただいて、ありがたいかぎり。

 ハンさんには、すぐにお礼のお葉書を書き送った。

 あらためて、ありがとうございました!

2018年5月3日木曜日

五月のホームページ



みなさん、ゴールデン・ウィーク、いかがおすごしですか?

ぼくは、休日返上で、原稿と仕事 苦笑

そんななか、今月も、ホームページの「HOME」を更新してもらいました。ぜひ、お楽しみください。

新緑に畳の清楚な対比、茶碗は、十五代吉左衛門の黒茶碗。お気に入りで、春夏秋冬をつうじ、机辺において愛服しています。

上写真は、新緑の茶庭。どこにも遠出できない連休だけれど、茶室であざやかな若葉をまえに一服したり、緑のトンネルになった見沼の桜回廊をさんぽしたり。人混みが苦手だから、たまには、静かな連休もいいなあ。ことしは、埼玉の自然と仲良くしよう。

 あ、呑みには、毎晩、いっていますが。

 よい連休をおすごしください。

2018年5月1日火曜日

また、野毛呑み





フェリス女学院大学の講義のあと、昨年、教えた学生さんと卒業生さんが顔をだしてくれた。ブログを読んでくださったみたいで、「今晩も野毛ですか?」。

今回、呑んだお店は、鯨料理で知られる「大門」。女将さんと、若い女性店員さん(娘さん?)できりまわしているらしく。

まずは、ビールで乾杯。お通しに、イワシの刺身がでたのだけれど、ピカピカ光って、お通しのレベルではない。お新香も頼み、つづいて、鯨の刺身とユッケなど。酒は久保田千壽でとおす。鯨の刺身は、赤身とトロ(脂刺)を交互に盛りつけて紅白にするのが、ただしい鯨刺だとか。
鯨肉は、とても新鮮で、あの独特の血の馨が、酒によくあう。臭いとは感じない。新潟のさらっとした酒よりは、広島の竹鶴や埼玉の神龜ぐらいのヘヴィー級がいいのかも。
女性陣は、女将さんの「特製若鶏唐揚げ」がいたくお気に召したらしい。三人で六千円ちょっと。

小一時間、呑んだところで、野毛の名物中華料理店「萬里」で、野毛一というタンメンを〆に。タンメンというと、スープは淡白なのが一般的だが、こちらはしっかり鶏ガラの白湯、麺も太麺。

彼女たちと別れたあと、ぼくはJAZZ喫茶&バー「ちぐさ」へ。ハイボールをたのみ、不世出の天才ドラマー、ラルフ・ピーターソン(Ralph Petereson)がsomethingelseに吹きこんだ名盤「V」をリクエスト。二台のJBL大スピーカーで堪能。四谷の「いーぐる」、一ノ関の「ベイシー」しかり、ジャズ喫茶で今日も健在なのは、JBLのスピーカーとLPレコードにこだわっている店か。

また、ごきげんな、野毛の夜。