2018年11月10日土曜日

骨董市と上海蟹






 さる11/2金曜日。詩人の城戸朱理さん、写真家の小野田桂子さん、小説家の中沢けいさんとパシフィコ横浜で待ち合わせ。「横浜骨董ワールド2018」に出かけたのだった。中沢けいさんは〆切中でこられないとのお電話。

 けれども、今回の骨董祭、城戸さん曰く「骨董市なのに骨董がない」、ざんねんな結果に。三人とも収穫ナシで会場をあとにした。

とまれ、そんなことは骨董市にはつきもの。最初から、本日のメインは横浜中華街の銘店「桃源屯」で食す上海蟹ときめてあったのだ。

上海蟹。立冬のころが旬で、李白をして「究極の美食にして、至高の沈黙」と吟しめた食物である。
沈黙というのは、蟹を食べるときは皆黙ってしまうということ。桃源屯の上海蟹コースは、まず、紹興酒で生の蟹を漬けた「酔っぱらい蟹」から。つぎに、まっ赤に、ほっくり炊けた「ゆで蟹」。しまった身もおいしいけれど、頭胴にみっしりつまった、蟹味噌、卵、白子が、たまらない。4、6、8年ものの甕だし紹興酒をつぎつぎ口にふくみ、酒の味香が口内に残留しているうちに蟹をいただく。酒と蟹味噌が口のなかで甘くとろけあう。箸で蟹味噌がとれなくなったら、甲羅に紹興酒をそそぎ濯いで呑む。酒、蟹。酒、蟹。ぼくらも、ただ、黙々と食し、呑んだ。なるほど、至高の沈黙。
中沢けいさんの分まで、四人前の上海蟹を堪能したのだった。

東門で蟹ならずプードルらしき犬と戯れつつ、ここちよく酔い歩き、ぼくの宿泊先のホテルニューグランドのバー「シーガーディアンⅡ」へ。満席。よって、城戸さんの知っている静かで落ちつけるスタンダードバーでさいごに一杯。
ホテルの部屋にもどり、あしたはイベントなれど、幸せに、ふら、ふら。翌朝。上海の海の味と馨が、まだ、口中と味蕾にのこっていた。

 後日、ブログの原稿をPC清書してもらったところ、なんだかもうタイトルを一瞥しただけで、またワクワク(ムラムラ?)してきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿