東京西荻窪の伝説的な現代陶器店「魯山」が閉店するという。坂田和美さん、勝見充男さんらとともに、いわゆる陶芸界の「新感覚派」を三十年にわたり牽引してきた大嶌文彦さんのお店。
岡山、瀬戸内への取材旅行をあすにひかえてはいたが、湘南新宿ラインにとびのった。
店主の大嶌さんには、会えた。打ちっぱなしのコンクリートの店内は、すでに全商品が売り切れてい、がらんとしていた。ぼくが魯山ですごした最後の時間は、二十分ほど。その間、閉店を惜しむお客さんが、次々、おとずれて挨拶していった。
大嶌さんは、閉店の事情も経緯も、語らない。だから、ぼくも、言葉すくなに「お世話になりました。お元気で」というしかなかった。別れ際、大嶌さんは、そっと握手してくれた。
一昨年、ひさしぶりにお会いした大嶌さんは、ソウルで開催された魯山展について、嬉しそうに報告してくれたばかりだった。
瀬戸内から帰ったら、魯山について再び書きたい。魯山と大嶌さんは、若き陶芸家やプロダクトデザイナーはもとより、アーティスト、料理研究家、編集者、そしてぼくを育ててくれた場所だ。
とりあえず、いまは、魯山の復活を心から祈りたい。
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