仕事帰りの午後に上野から浅草へ。念願の、駒形どぜうへ。
とまれ、梅雨は明けて、どぜうの丸鍋では見目も暑いというもの。だから、こちらも好物のどぜう蒲焼で、一杯呑むことにした。
蒲焼が焼けるあいだ、冷たいお新香とさらし鯨をたのむ。ビールは上野東京ラインのグリーン車内で二缶飲んできたので 笑 いきなり日本酒を。たれ口を冷やで。
コロナ感染予防のための換気で、縁側の窓が開け放たれてい、隅田川のほうから風がはいる。風鈴が涼やかに鳴る。風韻にのって、すこうし傾いだ古唐津盃に酒を注ぐ。半年ぶりに、駒形どぜうの小上がりの時間をゆったりと愉しむ。
二十分ほど経つと、かりっと香ばしく焼けた、どぜうの蒲焼がはこばれてきた。お調子をもう一本。丸鍋もいいが、盛夏はこれにかぎるのだ。
どぜうの蒲焼は、鰻よりもさっぱりしており、ひと口で食せる食べ易さ。むろん、精もつく。駒形どぜうの蒲焼は、とくに、たれが辛口ですっきりとしている。ぼくの好み。作家の吉田健一が愛した金澤のどぜう蒲焼は、たれが甘口で、こちらは冷おろし原酒などのおもたい甘口の酒があう。それはそれで、美味しい。
駒形のほうにあうのは、やはり、江戸の清酒だろう。菊正宗樽酒があれば、もっといいのだけれど。
ちいさな泥鰌ながら、表はかりっと、内はふっくらと焼きあがった蒲焼を食しては、古唐津盃をあげ、切のいい江戸の酒をひと口。至福のひととき。
これで、やっと夏を迎えられる。
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