浅草の早春賦
桃、三又、河津桜につづき、辛夷が咲き、ついに、しだれ桜も開花。ことしは冬があったのだろうかと思う間もなく、春が、きてしまったようだ。
そんな、早すぎる早春の一日、ぼくは午前の浅草にきている。隅田川をあるいて、駒形堂へお詣り。今年初の花見をして、仕事へ。この日は、四件の打ち合わせ。一日、七時間、カフェやバーをわたりあるいての会議。
午後は、六本木の新感覚にして気鋭のギャラリー、YUTAKA KIKUTAKE GALLERYから詩画集を刊行する企画があり、執筆を依頼されたぼくは蔵前へ。
つぎは、来年リリース予定のインターナショナル・ポエトリィ・サイトの打ち合わせ。海外観光客でにぎわう隅田川沿い、厩橋ちかくのブティックホテルnuiのバーで、副編集長の二宮豊氏と、コンテンツやネーミングの会議。ぼくは、話しすぎで疲れており、隅田川ブルワリーのペールエールを、もう、呑んでしまうのだった。
夕方。早い時間から、二宮さんと、駒形どぜうへ。厩橋そばの生まれで、筑摩書房時に勤務していた詩人吉岡実が、西脇順三郎と連れ立ち、おとずれた店でもある。
いつもの、鯉の洗い、新香、田楽、丸鍋もたのんだが、駒形どぜうが初めてという二宮さんのために、どぜうの蒲焼を追加した。
小説家の吉田健一も大好物だった、どぜうの蒲焼は、金沢の方々にいわせると、庶民のソウルフードだとか。駒形どぜうの蒲焼は、よりすっきりとした醤油たれで香ばしく焼かれ、ぷりっと太ってい、臭みは皆無なのだった。
詩やアート、サイトの話を歓談しつつ、さいごは、どぜうのだしのとれた丸鍋に葱だけをいれ、くたくたになるまで煮焼きしてから、熱々の白米にかけて食べる、葱飯まで完食。
酒食後は、バーをさがしながら、ふたりで夜の仲見世をそぞろあるいた。新型コロナの報道や安倍政権の失策のせいで、浅草寺は閑散としていたが。インバウンドまえの冬の浅草が、もどってきたともいえよう。
これを好機と、静穏な境内で、夜桜を満喫したのだった。
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