2017年10月13日金曜日

「平昌 韓中日詩人祭2017」、開会式の夜






(写真:韓成禮/ハン・ソンレ氏)


「平昌 韓中日詩人フェスティバル2017」初日の9/14は、ソウルからバスで開催地となる平昌(ピョンチャン)に移動。二時間半の距離。会場は、2018年開催の冬季五輪となるリゾート施設群だった。

到着後は、各自、ホテルで昼食、休憩。同行の詩人、杉本真維子さんや萩原健次郎さんらと、周辺を散策。ホテル「アルペンシア」はスキージャンプ台のすぐ裏手。

午後4時から、メイン会場の「アルペンシアコンベンションセンター」で韓中日の代表詩人と韓国詩人協会団の総勢200名、政府関係者、マスコミが列席して開会式宣言。フェスティバルのテーマは「平和 環境 癒し」だ。会場は、よく政府や企業、団体の国際会議がひらかれているようで、いたるところに記念写真がかざられていた。基調講演を、韓国詩人協会長の呉世榮氏、日本代表の石川逸子さんがおこなう。閉会後、ぼくは韓国テレビ局KBSからインタビューを受けた。

晩餐会のあとは、夜7時半から「詩朗読コンサート」。日本からは、中本道代、柴田三吉、紫圭子、細田傳造、大城貞俊の各氏とぼくが出演。

今回のフェスティバルは韓国政府の開催ということもあり、ぼくが経験した国際詩祭のなかでもひときわ豪勢だった。電話帳ほどおおきく分厚い、代表詩人たちの韓中日対訳詩アンソロジー、さらにそこから選抜された詩人たちを編むハードカバー版記念アンソロジーが列席者全員に配布。一般客にも販売。そして、ハングルに訳された日中各詩人全員の詩作品が、一枚一枚、韓国の書家によって揮毫され、画を付され、青白陶磁器に焼かれて展示されている。いくつかの詩作品をテーマに描かれた現代アートや絵画も展示されていた。拙詩集『まどろみの島』を題材に描かれた作品もあったようだ。

ぼくら日本の詩人たちは、韓国の手厚い歓待に圧倒されるばかり。

そこには、詩や文化にたいする想いが、細部にまで熱くこめられている。

ぜひ、知ってほしいのだけれど、じつは、韓国、中国、台湾などアジア諸国で常時開催されている国際詩祭および文芸フェスティバルは、日本には、皆無。過去に日本政府後援で開催された記憶もない。日本政府は国際的な文化交流、いや、文化そのものにたいし、どうしてこうも冷淡なのか。規模のかかわりなく、海外に招かれ、詩人や一般観客の方々から真心のこもった歓待を受けるたび、ぼくはやるせなさと恥ずかしさをおぼえる。なぜなら、ぼくら日本の詩人は海外に招かれることはあっても、他国の詩人たちをお招きすることがない(民間企業団体や大学教育機関はべつだが)。「経済大国日本」、「おもてなし」が、きいてあきれる。国際文化交流にかんして、日本はじつに傲慢で、アンバランスな関係を他国に強いている。


海外の文化政策を日本に伝え、改善を訴えてゆくのも、招聘された者の役目だと思う。

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