「目白コレクション」の収穫は、写真の、古瀬戸麦藁手片口茶碗。江戸時代中期ごろの作で、伝世品とのこと。継もなく、ほぼ完器。新潟から参加していた「花地蔵」さんから譲っていただいた。
茶碗とあるのは、茶家が替茶碗として見立て重宝していたのだそう。古瀬戸の肌は、経年してよいぐあいに寂びており、見込みも抹茶を濯ぎたてつづけたことで、ほどよい渋味のうちにとろりとした光沢を湛えている。
不思議なもので、新陶の麦藁手にはあまり惹かれないけれど、相応の歳月を経たとたん、茶器として、また酒器として、ぐっと魅力が増してくる。それが、古玩の醍醐味なのかもしれない。酒器としては、酒が一合強はいるサイズ。地肌をおおう、麦藁手固有の橙色の線と色彩も、絶妙なバランスではないでしょうか。
古瀬戸麦藁手片口には、柳宗悦のやはり茶碗に見立てた優品があり、白洲正子旧蔵のものがあるが、どちらも器形が円い。方形は、珍しい、とか。
ぼくは抹茶碗、酒器、両用するつもり。酒器なら、晩夏から初秋にかけてが最適でしょう。手持ちの盃であわせるなら、くらわんか平盃か、古唐津山盃なんかがいいかも。
長年、憧れてきた器だから、出逢えてとてもうれしい。
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