2018年4月24日火曜日

野毛呑み






  ことしも、フェリス女学院大学での講義がはじまり、すると当然(?)講義後の酒食に悩むことになる。昨年は、居心地のよさもあって、横浜駅西口の、ミシュラン星獲りの鰻や「横浜野田岩」につい通ってしまった。もちろん、大赤字である。

 そんな反省もあって、スノッブな店はもう飽きたし、ことしは渋好みの野毛あたりに河岸をかえた。安くて、旨い店がたくさんある。「ばか鍋 浜幸」(ばか=馬肉と鹿肉料理のこと)が休みで、「鳥芳」さんにはいってみる。いい感じに古びた店内。品のいい静かな老大将と女将さんの鴛鴦店である。ネタケースには、鳥豚牛のみならず、魚介も多くあった。

 ビールをチェイサーに、たこ刺とぬる燗(白鹿、横浜で多いのかしらん)で乾杯。つづいて、アスパラ串、ねぎま串、貝焼串、お銚子二本でフィニッシュ。串焼はすべて二本から注文、酔っ払いお断りがルールとか。小津安二郎が通った銀座の「鳥広」みたいだ。お会計は二千四百円也。味よし、焼き加減よし、大将女将お客さんの人情よし。

 もう一軒。野毛といえば、名JAZZ喫茶&バー「ちぐさ」。壁をおおうかの年代物の大スピーカーで、ジム・ホールの名盤LP『LIVE!』を聴かせていただく。音に奥行きがあって、ほんとうにライブの体感。ライ・ウィスキーのハイボールを片手に、聴き惚れた。

 二軒梯子して、三千円ちょっと。

 ほどよく、気持ちよく酔って、湘南新宿ラインに乗る。

 野毛の夜が、クセになりそうな予感。

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