2018年10月17日水曜日

「いばらき詩祭2018」




塚本敏雄氏


右:石田瑞穂 左:村岡佑樹氏

去る10/13。つくばエクスプレスのつくば駅ちかくで開催された、「いばらき詩祭2018」に出かけた。目路いっぱい広がる黄に色づいた田畑と、青空を背になだらかな筑波の山なみ。こころも車窓におおきく広がるよう。

改札口で出迎えてくださったのは、詩祭ディレクターの詩人塚本敏雄さん。主催の茨城詩人会の方々とのご挨拶もそこそこに、「朗読について」というタイトルで、塚本さんとぼくが前座トーク。
いま、「前座」と書いたけれど、この詩祭の特色は、つづいてのオープンマイク朗読がメイン、ということ。前々回に書いた、「ポエマホリックカフェ」の伝統でもある。近現代詩を永く担ってきた伝統ある詩誌「白亜紀」や「青い花」同人、茨城詩人たちのみならず、県内外からエントリーした一般客もおおい。二十二名の参加者たちが、二時間におよんで朗読された。
朗読の順番は、その場でのくじ引き。このチャンス・オペレーションなら、参加者だれしもが途中退席もせずに、緊張感をもって他者の朗読に聴き入るだろう。どの詩も、声も、いばらきや筑波の風光、土の香、時間を詩行にたわわに稔らせていて、最初から最後まで聴きいってしまった。

ラストは、塚本敏雄さんの朗読。パワーポイントを用いつつの新しい試みで、ぼくは、初めて聴いた。スクリーン上で写真と詩の言葉がわかりやすくプレゼンテーションされており、たしかに、聴きやすい。それでいて、不思議と、塚本さんワールドがひろがるのだから。身近に共創しうるミュージシャンやアーティストをもたない詩人にとってPCは、興味深い可能性だろう。
つづいては、ぼくとロックバンドAramのベーシスト、村岡佑樹さんとのデュオ。今回、村岡さんが奏でるアクースティックギターとぼくの朗読は、アンプラグドで挑んだ。その形態が決定したのもイベント一日前で、朗読のための詩作品が決まったのは、当日その場という 笑 あえて、極度に即興性を高めてみた?わけだけれど、村岡さんにはいい迷惑だったかも。

それにしても、茨城詩人の方々の温かいおもてなしとホスピタリティには、感じ入ってしまった。手ずからご用意してくださった昼弁当に夕餉のお魚。署名入り詩集もお求めいただけた。めずらしく詩祭に同行した妻は、オープンマイクを聴いて、「こころと言葉を失くしたような人がおおいのに、詩をつうじて自分の言葉を保ちもとうという方々に出逢えてよかった」といっていた。
たしかに、情報速度は飛躍的にあがりはしたものの、自分の体と声で言葉を保持し、他者と隣席しようとする身体性は薄まりつつあるのかもしれない。その意味で、オープンマイクは、詩人よりもだれよりも、そうした身体性と他者との出逢いを回復しさきへうながす、創造の十字路なのかもしれない。

茨城詩人会や詩祭で出逢ったみなさま、硲杏子会長、高山利三郎さん、司会の関和代さんと柴原利継さん、そして、塚本敏雄さん。こころから、ありがとうございました。

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