2019年3月8日金曜日

横浜中華街〜謝甜記の朝粥





 横浜ホテルニューグランドで缶詰の翌朝、二日酔い気味だったものの、6時には起床。コーヒーをもとめて港を散歩した。薔薇色の光が海をわたってきて、コーヒーと煙草とカモメと。部屋にもどり、新詩集『Asian
Dream』の再校とむきあう。8時半になったので、そろそろ。
 中華街に朝粥しにゆくのだ。

 ぼくが通っているのは、朝陽門から上海通りに入ってすぐの、謝甜記という老舗店。数十種の中華粥があるといわれ、乾燥貝柱や乾燥牡蠣、鶏を丸一羽煮込んでスープをとり、四時間以上かけて米から炊くお粥だ。

 早朝の観光客のいない中華街だが、もう、人々は働きはじめている。中国の人は、ほんとうに働き者だ。朝は中華街で働く人々のために、粥やと飲茶やが開店する。修学旅行できているらしい高校生たちも、朝の小籠包を買いに列んで。それから、青菜やと肉、魚やも開店。中華街本通りの大店飲食店には、つぎつぎと、さまざまな食材をつんだトラックが横づけされてゆく。店内に運びこまれる鱶鰭、おおきな海亀の甲羅なんかも見たことがあった。
 朝の謝甜記にも、さまざまな人がおとずれる。広東語と北京語がゆきかい、中華街の公用語でもある日本語もきこえてくる。ときには、日本人観光客もいる。写真は、いつも食べる野菜粥。青菜や空芯菜はお粥の下に沈んでいる。特製のしょうゆタレをかけ、千切りにした生姜を添えて。これが、酒を呑んだあとの臓腑に、じんわり、効くんだなあ。
 この朝は、揚げパンもつけてみた。やや歯応えがあり、噛むと、じゅわっと甘い油が口中にひろがる。軽いパンは、お粥のあいまに齧ると、いくらでも食べられそうだ。いつも、宿酔いだから、なかなか食べられないけれど、海老点心、牛モツ、ヨウザイ炒めをつけあわせに注文する人もいる。
 それとなく、観察していると、常連さんは牛モツ煮粥や貝柱粥を食べる人がおおいようだった。五目、ピータン、海老、鱶鰭粥なんてのもあって。いつか、鮑粥を食べてみたいなあ。

 こうして、滋養を恵まれ、午前の仕事や打ち合わせにそなえるのだった。

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