2019年7月15日月曜日

ARAM in FERRIS !



Kohei and Yuki : ARAM 


 7/8月曜日、ぼくが担当しているフェリス女学院大学の講義に、注目の若手ロックバンド「ARAM」(アラム)のメンバー、 コーヘイ(ボーカル)さんとユーキさん(ベース)がゲストで登場してくださった。

ミニイベントのタイトルは、「夜の街を歩くポエジー 詩と詞」。

音楽と言葉、ロックの歌詞と現代詩、声へと生成するポエジーなどをめぐってトークをしたのち、ぼくが、新詩集『Asian Dream』から三篇をユーキさんのギターとともに朗読。つづいて、コーヘイさんとユーキさんが、ローソンHMVからリリースされた新譜『百年ののち』から「夜とうつつ」、「木犀の日」をライブで演奏してくださった(アルバム『百年ののち』については、昨年12月末の拙ブログでも詳述したので、そちらをお読みください)。

講義では、日本の近現代詩とともに、ロックの歌詞をとりあげている。ことしはアラムの「夜とうつつ」、「木犀の日」を学生さんたちと聴き、精読していた。甘いマスクからは想像がつかないハスキーボイスで歌い、アコースティックギターをかき鳴らすコーヘイさん。そこに、ユーキさんのフェンダーがかぶさってゆく。いつもの教室が、あっというまにライブハウスになって、学生さんはうっとり聴きいっていた。期せずして、現代詩の生の朗読とロックの生の歌声を聴き比べるという、ぼくにとっても初めての、贅沢な試みになった。

アラムのおふたりにとって、こうしたトーク、しかも大学構内でのイベントは、初めての体験だったという。このミニイベントは、歌詞については自分自身できちんと語りたいというコーヘイさんの熱いボランタリティーによって実現した。コーヘイさんは大学生時代、梅崎春生や吉行淳之介などを専攻し、村上春樹のファンだともいう。

おふたりは、自分たちのスタンスを「インディーズ」と明言する。『百年ののち』は、メジャーアルバムと遜色なく、キャッチーで聴きやすい。表面的には。けれども、コーヘイさんとユーキさんの歌詞論やロック論を聴いていると、デジタルネイティブの他者論など、いまを生きる20代の複雑な世界観が潜在していることが伝わってくる。ポストサイケデリックともいわれる現代のロックは、メジャーの仮面のしたでインディーズの牙を研ぎ澄ましているのかもしれない。

講義のあとは、おふたりとひとりの学生さんを誘って、野毛酒場へ。たまたま、月曜日は早めに閉店する日本最古のジャズ喫茶「ちぐさ」があいていたので、入店。名盤「GETS/GILBERTO」のLPがかかっており、ぼくらはビールを飲みながら、数日前に他界したジョアン・ジルベルトを偲んで聴き入る。すると、こんどはビル・エバンス・トリオの名盤「WALTS FOR DEBBY」が。アラムのメンバーは全員、ビル・エバンスが大好きだという。こんどは、安くて旨い若鳥焼きの店「雅」で打ち上げ。それから、老舗バー「R」へ。エバンス、ミツメ、サウス・ロンドンのミュージックシーンなど、カクテルを呑みながら、ぼくらの言葉の夜は終わりそうもないのだった。

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