2021年8月28日土曜日

桃山の木葉

 

 

新型コロナの緊急事態宣言もかさなり、家呑みの時間をすこしでもうるおうものにしようと、古玩も、食器をもとめることがおおくなった。

 

 前回、ややフライング気味に登場してしまったが、初夏の目白コレクションに出展していた京橋〈奈々八〉から、桃山時代〜江戸時代初期の古絵志野木葉皿をゆずりうけていた。

 

 北大路魯山人がこれと同手を本歌にし、染付に詠み変えて木葉皿をつくっていたようだ。

 

 紅葉図は桃山文化の代表的な意匠。ぼくの古絵志野木葉皿も、骨太の型押造形、自然釉にちかい釉調にすっと鉄絵の葉脈が描かれる。この手の模範的な作行だろう。流れるような灰釉の潮も、そこに飛び散った鉄絵も、美事。もとは五客か六客一揃だったのが散逸したのだろう。共箱は魯山人とも所縁ある黒田陶苑の作、前代はコレクターが所有。大変コンディションの佳い完器だ。

 

全体の色彩は紅葉というより朽葉色だが、そこが侘びており、じつにいい。魚の脂や炊物の出汁を吸うと、土味に紅い光が射すのが、これまた、なんとも。

 

 魚が美味くなる秋冬の酒肴を盛るのに好適なのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿