2019年4月4日木曜日

見沼桜回廊でお花見





 やっと、お花見にゆくことができた。

 フリーランスの特権をいかし、平日の朝、歩いてすぐの「桜回廊」‎へ。ぜんぶつながると、22kmの桜並木になり、そうなると、日本一の長さになるとか。さいたま市は、近年、桜祭とやらの広報に力をいれ、懸命に桜を植樹している。年々、桜回廊をおとずれる花見客もふえてきた。かつては、地元民さえ知らない、知る人ぞ知る、大桜並木道だったのに。
 まあ、あまり人出がおおくなると、お佐久良さまも、五月蝿いと、ご機嫌を損ねられるというもの。ほどほどが、いいですね。いつまでも、江戸時代にタイムスリップしたかの、静かな見沼の鄙里のお花見であってほしい。

 そういえば、桜回廊のちかくには、書家の北村宗介さんや小説家の京極夏彦さんといった、文人墨客が隠棲されている。見沼の里は、いかにも、現代の文人墨客の鄙里といった趣がある。

 8kmほど歩いたと思うのだが、桜、桜、桜。無限とも思える、薄墨色の花のかがよいに、眩暈をおぼえる。ぼくはもう慣れてしまったのだが、初めて見沼の桜回廊をくぐる人は、桜花に酔って、気分が悪くなる方もいる。
 お花見といっても、一本のソメイヨシノの袂をじっくりみあげはしない。なにせ、延々つづく桜並木なのだから、たちどまって見惚れていたら、きりがない。一歩あるくたびに、桜の差異と反復が無限に戯れてゆくようで。桜花の海に透体脱落する感覚こそ、見沼桜回廊のお花見なのだった。
 だからかもしれないが、東京に住んでいたときとちがい、一本の桜をじっくりお花見することがなくなってしまった。

 ことしも存分に桜の精を浴びさせていただいた。一年にいちどの、最高の休日でした。

 お佐久良さま、ありがとう。また、来年も元気に、お咲きになってください。

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