2019年8月5日月曜日

郡上八幡の夏休み






所用で岐阜におもむいた折、はやめの夏休みを郡上八幡でとった。

 郡上をおとずれたのは、じつに、二年ぶり。今回も、古瀬家のみなさんにお世話になった。ちょうど、郡上踊りの中休みで、すいているのもよかった。

 ぼくは郡上八幡が大好きだ。滔々と群青の水をゆたかにおし流す吉田川。長良の名水が街のそちこちにめぐらされた用水路に水音をたてて。その清水には、錦鯉、鮎や天魚までが気持ちよさそうに泳いでいる。
 ちょうど、鮎の季節で、吉田川や小駄良川では友釣りが盛んだった。釣り人らが一列にならび、長い竿を立て、水平へときりかえす光景は郡上の夏の風物詩だ。

 マンションはおろか、現代住宅さえほとんどない、古い町屋の軒並み。
 古くからの商業の街は、文化水準も非常に高い。
 むろん、酒、食、ともに逸品がそろう。
清水のお風呂、天然温泉も、最高。

 近年、ぼくは京都や金沢より、古い町人文化の薫がのこる郡上が気に入ってる。小説家立原正秋が賞賛した鰻と長良川魚の老舗「魚虎」で、絶品、和良の鮎、直焼き鰻で一献。阿弥陀滝の水で流しそうめん。名居酒屋「大八」でも、鮎刺身コース。吉田の名水をつかう「こぼこぼ」の地エール。上田酒店が醸す、岐阜市内でも超入手困難な幻の純米樽酒「郡上踊り」も、こいつを呑みに郡上八幡に通う、といって過言ではない旨さだ。
風情あるちいさな街を歩けば、すぐに佳き酒食店にゆきあたるのが、なんともうれしい。呑み旅には、最高の土地だと思っている。

 和歌にゆかり深い郡上八幡には、釈迢空の歌集を携行して読んでいた。いま、左右社で連載中のエッセイ「詩への旅」にも、もちろん、書く予定です。

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