すこしレポートが遅くなったが、去る10/17第三木曜日、獨協大学外国語学部主催のポエトリー・イベント「LUNCH POEMS@DOKKYO」に、詩人の永方佑樹さんが出演してくださった。ランチポエムズの公式ホームページでも、インフォメーションをご覧ください。
一年間の休止をへて、新実行委員会により新たにリブートしたこのランチポエムズ。学外からもお客さんがご来場くださり、盛会となった。
また、永方さんの第二詩集『不在都市』(思潮社)が、今年度の歴程新鋭賞を受賞!今回のランチポエムズが、永方さんの受賞後初のリーディングとなった。
朗読は、第一詩集『√3』からスタート。永方さん独自の「立体詩」が試みられた詩集だ。√3=三角形(錐)は、ひらがな、カタカナ、漢字を有する日本語のトライアングルでもあるとか。永方さんの奏でた日本語は、その三種の書字=書記の音響を異化しつつ相乗してひびかせる。その声は、語音というより、日本語に内在する数学的な音楽を聴かせてくれるよう。ミュージシャン系、演劇系の詩人たちの朗読とはちがう、独自の美をもつ朗読だった。
いっぽう、『不在都市』の朗読は、より現代の位相に接続するリーディング。国際詩祭で共同制作したアーティストたちや翻訳者たちと紡ぐテクストをスマートフォンの声で再生したり、天台宗僧侶に詩篇を朗詠してもらうなど、声とエクリチュールの関係性を、二項対立をズラしつつ、新たなポエジーの立体へと構築してゆく。
永方さんは、都市を「不在」の集合と観じているとか。とまれ、詩人のアクセスする不在は、けっして否定的な空虚ではない。永方さんは、この不在にむけて、つぎつぎと新たな詩のアイディアを創造して挑む。すると、あれこれと手を尽くしつつ、詩人が不在から湧出させるクリエイションが、とても豊かなものにみえてくるから、不思議だ。
ランチポエムズで出逢った永方佑樹さんという詩的発明家の相貌は、アメリカの前衛詩人ガートルード・スタインを彷彿とさせる。学生さんたちも、詩人の豊富なアイディアに圧倒されつつ、たのしんでいたようだ。
11月末には、イベントの動画も配信される予定です。「LUNCH POEMS@DOKKYO」のホームページ、または本ブログでも告知をしますので、ぜひ、ご期待ください。
次回、11/14木曜日のランチポエムズ(11/21から諸事情により、急遽変更になりました!)も、じつに、たのしみな詩人。マルティーナ・ディエゴさんが出演の予定。ぜひ、ご来場を。
ランチポエムズのリブートにふさわしい詩人を招くことができて、ぼくも原先生も実行委員会のメンバーも、大満足のイベントでした。
永方佑樹さん、ほんとうに、ありがとうございました!
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