詩人ヤリタミサコさん
第11回をかぞえた「LUNCH POEMS@DOKKYO」。
今回は、詩集『私は母を産まなかった/ALLENとMAKOTOと肛門へ』(水声社)を上梓し、文字のみならず音声や視覚から詩を探求するフルクサス/アヴァンギャルド詩人ヤリタミサコさんをお招きした。
また、ヤリタさんは、『E・E・カミングスの詩を遊ぶ』(水声社)や『ギンズバーグが教えてくれたこと−詩で政治を考える』(水声社)などの著書で、アメリカ近現代詩研究者・翻訳者としても知られる。
ヤリタミサコさんを、ぜひ、お招きしたいと第一声をあげたのは、視覚詩の先駆的詩人カミングスで卒論を書こうとしている学生さんたち。しかし、ぼく個人は、映像収録の環境から(いまのところ)スクリーンやプロジェクターがつかえない現行の「LUNCH POEMS@DOKKYO」では、ヴィジュアルポエットをお招きするのは、むずかしいと感じていた。
ところが、そんなディレクターの杞憂を晴らすように、ヤリタさんは見事多彩なパフォーマンスで会場を沸かせてくださった。学生さんたちの柔軟な感性が実現した企画でもある。
ヤリタミサコさんは、今秋に他界され、視覚・音声といったジャンル性をもとび超えた詩人・藤富保男さんと長年にわたる交流があった詩人。収録イベントの冒頭では、藤富さんの詩篇「ふタりノかンけイ」(詩集『やぶにらみ』所収)を、遺稿をもとに朗読。その秘められたエピソードと、藤富さんとの思い出を、ぼくらに語り聴かせてくださった。藤富保男さんの生原稿!は来場者全員にカラーコピーされて配布。すごい、お土産がついた。ちなみに、この詩は男性(漢字とひらがなの詩行)と女性(カタカナの詩行)がデュオになって朗読する。ヤリタさんは、ぼくを男性パートに指名してくださった。とても、光栄でした。
カミングスの和訳詩の朗読や解説はもちろん、ヴィジュアルポエット・高橋昭八郎さんの作品のヤリタ・カヴァー・ヴァージョンも披露してくださる。
また、現代音楽ファンならご存知だと思うけれど、ヤリタミサコさんは作曲家フィリップ・グラスのアルバム「Hydrogen Juke Box」がテクストにしている、ビート詩人の教祖アレン・ギンズバーグの詩篇「ウィチタ竜巻スートラ」を1994年に翻訳されている。村上春樹・柴田元幸訳に先駆けて。ヤリタさんは、村上・柴田訳とご自身の訳をひきくらべながら、翻訳とポエジーの関係性をレクチャーしてくださった。
このときの映像は、後日、「LUNCH POEMS@DOKKYO」公式ホームページならびにYouTubeにてアップされます。ぜひ、ご期待ください。
こうして、多彩で、内容の濃い時間がまたたくまにすぎてしまった。
イベント後は、ヤリタミサコさんのご希望で原成吉教授の講義を聴講。さいごは、ヤリタさん、原先生、ぼくによるハプニング的なイベントへと発展した。
すべてが終了すると、学生さんたちが、すこし早めのクリスマスもかねて、忘年パーティをちかくのお店で開催してくれた。うえの写真は、そのときの模様。学生のみなさん、お顔が正面から写ってしまっているけれど、ごめんね。学生さんたちは、あたたかくフレンドリーなヤリタさんのお人柄にも魅せられていたようだ。
長時間おつきあいくださったヤリタミサコさん、ほんとうにありがとうございました。原先生、実行委員会の学生のみなさん、おつかれさまでした。
次回、第12回目となる「LUNCH POEMS@DOKKYO」は、変化球?いま注目の若手女性歌人、野口あや子さんがご出演。
新年1月18日のランチタイムに、獨協大学でお会いしましょう。
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