横浜で泊まり仕事の翌日、上野で下車する。毎年、
そんなときは、泊まりがけで昼夜、呑む。
蓮雀町「鎌鮨」は、まだあいていないので、ぶらり、上野公園へ。このところ多忙で、気になってはいたものの、なかなか赴けなかった国立科学博物館で開催中の「南方熊楠展」
じつは、今月末の発売だと思うけれど、詩の雑誌「詩と思想」3月号に、昨秋旅した南紀州と熊楠さんについて書いたのだった。この南紀への旅、本ブログで紹介するのを、うっかり失念していた。
とまれ、本展はちいさな企画展だが、力のこもった、良質な展示だった。
どの紙片も、余白をのこすことなく、墨やインクの手蹟でびっしりうまっている。ふつう、一行分しか書けない罫線内に、
手紙も毎日のようによくしたためた。柳田國男や真言密教僧土宜法龍法師へのおびただしい書簡。ロバート・ダグラスやF・V・ディキンズなどとも英文で頻々にやりとりをしている。こういう、熊楠さんの情熱あふれる手蹟を、時も忘れて眺めていると、PC時代に手書きのぼくは、大変意気をえた。
後年「南方はよく憶えている」と述べたという、昭和天皇に献じた粘菌標本をおさめた伝説のキャラメル箱(同型のレプリカだそう)もあった。これは、ぼくも初めてみる。田辺の南方熊楠記念館でみた記憶はない。しかし、どうして、キャラメル箱?
キャラメル箱というと、掌にのるサイズを想像すると思う。
生物学の分野では、
ぼくにとっては、粘菌というミクロの「原始動物」への、即物的ながらじつに詩的な観察眼、
熊楠さん作の標本や手蹟をみていたら、瀧口修造の詩的行為を想いおこした。熊楠さんの仕事は、せまい学術業績におさまらない、
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