横浜の野毛にある日本最古のジャズ喫茶&BAR「ちぐさ」に、ライブを聴きにゆく。「マルキオーネ・ブラザーズ」(the Marchione
Brothers)というタイトルで、ヒロ・ヤマナカ(Hiro Yamanaka)さんと、ニューヨークから来日中のギタリスト、ポール・コート(Paul Kogut)さんによるギター・デュオ。
マルキオーネ(Marchione)といえば、テキサス州ヒューストンの国際的に名高いハンドメイド・ギター、ヴァイオリン工房。ステファン・マルキオーネ氏が独りでつくる至高のスルーネック・ギターは、ジャズ界では俊英マイク・モレノやマーク・ウィットフィールドが愛用していることでも知られている。完全なオーダーメード、いちどに二器ギターをつくるものの、おなじ型のギターはにどどつくらない徹底したルシアー、マルキオーネ。
そこで、なぜ、「マルキオーネ・ブラザーズ」かというと。ヒロさんのオーダから待つこと一年。マルキオーネ氏から「すごいギターができたんだ!」との連絡。仕上がってきたのは、フェラーリ・レッドのセミホロウ・ギターだった。下記リンクのサイトに展示されている「セミホロウ・プレミアム」だと思う。
そして、今回、マルキオーネ氏が二器つくった真紅のギターのうちもう一器を、たまたま、ポールさんが入手。「このデュオのマルキオーネ・ギターは双子の姉妹というわけさ」と、ポールさんはコメント。ヒロさんは著書でポールさんをとりあげてもいる。その縁もあって、マルキオーネ・ギター・デュオが実現したのだとか。
さて、肝心のライブはというと。正直、マルキオーネを措いても、とても聴きごたえのある、すばらしいギター・デュオでした。ライブは、ポールさんのオリジナルナンバー「So That Happen」からはじまる。そして、ポールさんのプレイからもジム・ホールへの愛が伝わる「Body and Soul」、ヒロさんのハイセンスなアレンジによるコルトレーンの名曲「Naima」に、会場は沸いた。サム(親指)ピッキングのみで始まりも終わりもない滔々たる川の流れのように弾きまくるポールさんと、ソロでの音数を極力抑えつつブルージーかつファンキーに意外な角度からコードチェンジしてインタープレイの幅をひろげる挑戦的な ヒロさんのプレイスタイルとは、双方、好対照。だからこそ、静かな室内楽にちかいギター・デュオにいいケミストリーを生んでいた。
それにしても、日本ではあまり知られていないだけで、世界にはすごいギタリストたちがいるんだなあ。ライブのあと、おふたりとマルキオーネの新器とスリーショットしたかったのだが、ポールさんのみと撮影(ぼくはけっこう酔っぱらっていてねむたげ)。
ひさしぶりに、いいギター・デュオが聴けて、大満足な一夜でした。
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